妊孕性温存目的の卵巣組織凍結
HOPEでは、妊孕性温存目的の卵巣組織凍結を実施しています。
その際には、近隣にある京野アートクリニック高輪と連携して治療を行います。
問診票の入力と情報提供
まず、問診票にご入力いただきます。
その上で、相談員より来院前に連絡をさせていただき、より詳細のヒアリングと情報提供を行います。
以下には、卵巣凍結時の流れを紹介させていただきます。
初診来院(女性)
できるだけ早い日程で患者様にはご来院いただきます。治療希望に合わせて、術前検査、卵巣予備能力検査、ホルモン測定、超音波検査を行います。
治療方針決定
患者様自身にもよく検討いただき、主治医の先生とも連携しながら、最終的な治療方針を決定いたします。ここからは卵巣凍結の場合の流れとなります。
卵巣摘出医療機関の決定
当院は凍結保存の専門施設であるため、摘出は別の医療機関で行う必要があります。原疾患治療施設で可能な場合はそれがベストですが、できない場合には提携医療機関からお選びいただきます。
その上で手術日や搬送の手順などを定めます。
卵巣摘出・搬送・組織処理
卵巣の摘出は腹腔鏡下にて行われ、通常は3泊4日程度の入院を伴います。摘出範囲は、片側の卵巣を全摘出するか、両側を半分半分など
卵巣の状態を確認したうえで行われます。摘出した卵巣はただちにHOPEへ搬送され、組織処理を行います。
HOPEまで2時間以内に搬送が可能な場合には、卵巣の表面にある未熟な卵子を採り、体外で成熟培養を行うことも可能です(IVM)
一部の細胞を病理組織検査に提出し、摘出した卵巣組織の中に悪性細胞が混入していないかを確認します。
同時に、卵巣組織内の卵胞密度も測定します。その他、生存している卵胞を確認するViablityTestと呼ばれる処理も行います。
結果説明・フォローアップ
卵巣摘出時に、一部の組織を病理組織検査に提出します。結果が出るまでおおよそ2週間程度かかります。
患者様の治療スケジュールに合わせ、卵巣凍結結果と共に病理組織検査の結果を説明いたします。
その後は、妊孕能の変化や状況を確認するために3-6か月程度をめどにフォローアップを行います。
現在はオンライン診療を行うことができますので、検査が不要な時はご自宅から面談をすることもできますし、
妊孕性温存の患者様にはカウンセリングも継続的に無料提供しています。
妊娠許可・卵巣組織移植
主治医より妊娠許可があった場合には卵巣組織移植を検討します。事前に、その時の妊孕能を確認し、十分に保たれている場合には、移植をせずに自然妊娠に期待することもあり得ます。また、卵巣凍結実施時に成熟卵子や受精卵が得られている場合には、そちらから移植し、妊娠を試みます。
融解移植の方法は同所性移植を採用しています。同所性移植では残っている卵巣や、あるいは卵巣がない場合は卵管周囲の腹膜ポケットと呼ばれる箇所に貼付や縫合して生着させます。そのためには再度腹腔鏡下での手術が必要になります。生着後は、自然妊娠が期待できる点が大きな特徴です。
凍結された卵巣組織には、もともとのご病気の悪性細胞が混入していたり、転移していたりする可能性があります。卵巣摘出時に病理組織検査によって、混入の有無を確認していますが、検査をした組織と移植する組織は違うものであるため、100%混入を否定することはできません。そのため、必要に応じて、更なる検査を行い安全性を確認することもありますし、卵巣組織への混入リスクが高い疾患では移植することが出来ない場合もあります。